現代音楽の美しい残響音から、ゲームを左右する足音の小さな音まで。
皆さんこんにちは。iO管理人のRyota(Twitter)です。
今回は「final VR3000 for Gaming」のレビューです。
ゲームやVRの音響空間イメージを、制作者の意図通りに再現するイヤホンとして生まれたVR3000。
巷に溢れる「ゲーム用イヤホン」は、大抵の場合過度なドンシャリ傾向であったり、あるゲームのある周波数帯に特化した、
所謂「歪な周波数特性」を持っていることが多かったです。
しかしながら、ハード側のクオリティの向上や、ゲームの没入感向上を目指すための度重なるアップデートによって
ゲーム用途でも「正確に音を聞き分けられる」解像度や、フラットでナチュラルな周波数特性が求められるようになりました。
そんな時代の流行を読みながら、高い技術力を持って、「空間表現に特化した」イヤホンとして発売されたVR3000。
率直な感想としては、、、ゲーミング使用には勿体無い超コスパの高音質です。
final VR3000 for Gaming
・これは何?
空間表現に特化したイヤホン
・価格
7,980円(Amazon)
・ここすき
ナチュラルで聞き心地の良いフラットなサウンド
空間表現の解像度が非常に高い
非常に快適な装着感
・うーん
高級感にはやや乏しい
・総評 ⭐⭐⭐⭐⭐️
星5・とてもオススメ
【更新情報】
2024/10/12に、最新の情報に更新しました。
Contents
開封の儀
finalのミドルクラスまでの商品ラインナップでは、お馴染みの化粧箱のデザインです。
このシンプルでありながら、どこか品格高いデザイン。大好きです。
VR3000の付属品
付属品に関しては、以下の通りです。
- VR3000 for Gaming
- final TYPE E – SS/S/M/L/LLサイズ
- イヤーフック(ロック付き)
- 専用ポーチ
- 取扱説明書・24ヶ月保証・カスタマーサポート
僕はこれまで、色々とイヤーピースを選んできた過去がありますが、
結局finalさんのtypeEが最も音質に顕著な変化が生まれず、またフィット感が良いので、とても愛用しています。
できるだけ味付けのなく、つけ心地の良いイヤーピースをお探しであれば、最適解だと思います。
外観レビュー
本体はABS樹脂です。
表面がサラサラとした仕上げになっており、コストカットと軽量化を目指しつつ、質感にもこだわりたいという
finalのVR3000に対する設計思想がなんとなく伝わってきますね。
また、この特徴的な幾何学デザインは、
耳に対するフィット感の向上を目指してデザインされています。
こういった所謂「SHURE掛け」タイプのイヤホン、本体部のデザインで装着感がかなり変わりますが、
すごく自然で、角が優しくひっかかるため、どこかに圧力が集中して耳が痛くなる、、といったことがありません。
この点、すごく好感が持てるデザインです。
マイク部
マイク部は標準的な3ボタン仕様。
押し心地も良好。
またマイク音質も、標準的なイヤホンマイクの音質、といった具合です。
聞き取りにくさは全くなし。また特段高音質、という訳でもない印象です。
音質レビュー
視聴機材は、
音楽鑑賞にはMacとAudient iD4 Mk2(96kHz・24bit)
ゲーム音にはAstro MixAmp Pro TR(ドルビーオフ・EQはフラット)を使用しています。
【iOtakuによる音質評価】
高音域・・・星5 ⭐⭐⭐⭐🌟
中音域・・・星5 ⭐⭐⭐⭐🌟
低音域・・・星4 ⭐⭐⭐⭐☆
空間表現・・星5 ⭐⭐⭐⭐🌟
迫力・・・・星4 ⭐⭐⭐⭐☆
味付け・・・星2 ⭐⭐☆☆☆
傾向はややフラットで、音場は狭めです。モニターイヤホンのようなチューニングが面白く無いぐらいフラット、というわけでもなく、十分な音圧で曲を聞いていて気分がいいです。
- 綺麗に伸びる高音域
- 正確に定位をつかみ取れる高い解像度と定位感
- 量感はそこそこ、輪郭ははっきりとしたタイトな重低音
かなり音質、良いです。
では実際に曲を聞いてレビューを。
RockSound
最近話題のヨルシカです。
コンポーザーであるn-buna氏とスタジオの技術で生まれる「音圧を担保しつつダイナミックレンジをできるだけ殺さない、立体感のあるマスタリング」が非常に高いレベルで感じられます。
音圧戦争が一定の収束を見せている中、再生機器や配信環境のスペックの向上によりより高品質な楽曲が増えています。そんな作り手のこだわりをしっかり表現できるスペックは心強いです。
DARKGLASSのベースの歪みから、ボーカルのウィスパーボイスの高いところまで正確に、質感を持ちながらちゃんと鳴らしてくれます。
また高音の刺さりも無く、酔うような超重低音も見られない、聴き疲れのしないチューニングといった印象。
長時間使用でも安心です。
JazzSound
珍しい5/4拍子で有名なジャズナンバー、TAKEFIVEです。
再生した瞬間から、左右に広くバッと広がる空間表現が素晴らしい。
単純にスネア単体の音だけでなく、空間で反響している音、他のドラムやスネアが少し揺れる音まで空間的な情報を含めて聞くことができます。非常に広がりを感じさせる音です。
また、ウッドベースやバスドラムといった、かなりゲインが大きく低い音も潰れずに綺麗に鳴らし切っています。
この点がクリアされているだけで、数万円クラスのイヤホンのポテンシャルを秘めている模様。流石final。
EDMSound
みんな大好きZedd, Alessia Cara – Stayです。
いわゆる「指パッチン」のSE、めっちゃ広く響くように聞こえるので少し笑ってしまいました。
流石は空間表現特化モデル。
音圧と定位感、そして意外にも低音域の他に高音域の存在感が試されるEDM系の音源も
余計な歪みもなく綺麗に?鳴らしてくれます。
ゲームでの使用感
環境はASTRO MIXAMPです。
それぞれAPEXとスプラトゥーンをプレイしました。
音質、定位感、ともに良し。
敵の位置が明確にわかります。
特にAPEX・スプラトゥーン系のゲームは空間定位が非常に重要ですが、ステレオの分離感もかなり良好なので、音が混ざりにくくはっきりと上下左右が聞き取れました。
Astro MixAmp Pro TRとfinal VR3000 for Gamingとの相性・使用感
ASTRO MIXAMPは元々定位感に優れたゲーミングアンプですが、相性が非常に良いですね。足音の方角がわかるというより、空間の広がりが感じられるリアリティがあります。
また、APEXなどは距離、キャラクター、地面の材質設定などにより決められた足音の周波数がないことが難儀で、クセのあるイヤホンやヘッドホンなどであれば敵の足音が全く聞こえない、といった事態が起きます。
その点VR3000であれば、そのフラットな周波数特性がプレイヤーに安心感を与えてくれます。
実際に音を鳴らしてみても、どの帯域にも変なピークがない分、他の帯域をマスクして打ち消してしまうことがないため、非常に自然に、かつクリアに音を聞くことができます。
相性問題も特に感じず
また、当環境では特に相性問題を感じるタイミングは皆無でした。
非常に良好な使用感を得ることができます。
総括
ゲーミング用イヤホン用イヤホンを考える上で、僕がいつも見ているのは
- 装着感の良さ
- 音の良さ(特に周波数帯域と定位感)
- マイクがついているかどうか
この3点です。
それらを満たすイヤホンはなかなかありません。
が、VR3000のようなイヤホンを指しているのは間違いありません。
正直ゲーミング用途とは思えないくらいの高音質。とてもおすすめです。