海外では有名なスピーカーは、見た目だけでなく性能も本物でした。
皆さんこんにちは。
iOtaku管理人のRyota(@iOtaku_R|Twitter)です。
今回は、Audioengine社の人気スピーカーである「Audioengine A2+」のレビューです。
ここ数日「小さくて」「音のいい」デスクトップスピーカー探しの旅に出ていた僕ですが、ようやくこのスピーカーに落ち着きそうです。
Audioengine A2+
・これは何?
デスクトップスピーカー
・ここすき
圧倒的なデザイン性
ローエンドまできっちり鳴らす性能(サイズの割に)
・うーん
少し高い
楽曲制作には不適切
・総評 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
星5・とてもオススメ
【更新情報】
2024/08/22に、最新の情報に更新しました。
Contents
開封の儀
定価では3万円程するスピーカーですが、今回はオークションで安めに入手できました。
相場も下がってきているので、新品にこだわりの無い方はそちらもおすすめかもしれません。
今回はホワイトを購入しましたが、箱は各色同じのようです。
箱から出してみます。
スピーカーがマイクロファイバー地のポーチに包まれていました。
こんな包装は初めて見ました。佇まいが調度品のようですね。
いざ開封
小さい、かわいい。
スピーカーをスピーカーたらしめる最低限の要素だけを集めて作ったようなミニマルさ。
コントロールやボリュームはおろか、メーカーロゴすらない徹底ぶり。素敵です。
付属品
付属品はこんな感じ。
電源が特注品のトロイダルトランスというニッチさ。
トロイダルトランスは、リング又はドーナツ形状の磁性体コアにコイルが巻かれたタイプの電源トランス(変圧器)です。標準のトランスよりもノイズとEMI(電磁干渉)が大幅に低く、漏れ磁束が非常に少ないため電力変換効率が優れていることから、オーディオ機器、医療機器などに最適とされています。
デカいのも納得で、音を聞く前からもうメーカーの本気度がひしひしと伝わってきます。
外観レビュー
大体PS4のコントローラくらいです。
かなり小さいですねこれ。
公称サイズは15 cm(H) x 10 cm(W) x 13 cm(D)です。
これなら僕の机にぴったり。
下部の穴はバスレフポート。キャビネット内の空気を逃す他低域の再生能力向上にも寄与していいます。
ミニマルではありますが、本体の質感は結構高い。チープさはありません。
6.35 mm厚のMDF製キャビネット、すなわち木製。
だから重量も一本1.6kgとまぁまぁあります。
塗装も光沢のあるホワイト。色斑もなくとても綺麗です。
裏側にはインシュレーターがわりのスポンジ地。
これ三脚をマウントするネジ穴もついているので、スピーカースタンドに固定や天井吊りが可能。
なんともニッチな…(褒め言葉)
スピーカー部
スピーカーはいわゆる「2Way型」で、低音域から高音域までワイドレンジな表現が特徴です。
高域用に0.75 インチのシルクドーム・ツイーター、低域から中高域には2.75 インチのアラミドファイバー製ウーファーを搭載。どちらもAudioengineの自社設計品とのことです。
カスタムメイドされた高価な少量生産品と大量生産品でありながら期待した品質でなく、しかも安価ではない製品との大きなギャップにオーディオファンはいつも悩まされています。
A2+は、品質と性能、さらに価格の全てのバランスをオーディオファンに満足してもらうべくデザインされ、手作業による組み立てが行われています。
まさかの手作業組み立て。ピュアオーディオの世界でしかなかなかお目にかかれないワードです。
背面
これまた珍しく、スピーカーケーブルで接続するのを前提としたスピーカー端子がついています。
これはパッシブスピーカー(アンプが別に必要)というわけではく、片方にパワーアンプが内蔵されているという仕組み。
スピーカーケーブルも付属します。
全ての端子に金メッキ加工がなされているのは、メーカーの本気度が伺えます。
入力端子はRCAと3.5mmのステレオミニ。アウトプットのRCAはウーファー用です。
またDACも内蔵しているので、PCが直接接続できるのも嬉しいですね。
音質レビュー
環境はUR22mk2、Apple digital master音源での視聴です。
【追記】Audient id4mk2に切り替えての音質評価に更新しています。DAC傾向としてはレンジ拡大の純粋なグレードアップです。
またDACとスピーカー間のケーブルにはベルデンの88760を使用しています。
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プロケーブル
【iOtakuによる音質評価】
高音域・・・星5 ⭐⭐⭐⭐🌟
中音域・・・星5 ⭐⭐⭐⭐🌟
低音域・・・星3 ⭐⭐⭐☆☆空間表現・・星5 ⭐⭐⭐⭐🌟
迫力・・・・星4 ⭐⭐⭐⭐☆
味付け・・・星2 ⭐⭐☆☆☆
僕はベースとピアノの奏者なので、それらの楽器に注目してヒアリングを行いました。
購入時からエージングは進み、今は音質も落ち着いてきた頃合いといえます。傾向はややフラットで、音場は広めです。音圧も十分あります。また高域の伸びがとても良いですね。
- アラミドファイバー製ウーファーのよさが光る高いレスポンス
- 音源のアラが顕著に出る再生能力の高さ
- 上手くセッティングしてやれば「スピーカーが消える」
- スイートスポットは狭め
- サイズの割りに健闘している低域
かなりいい音です。
では実際に曲を聞いてレビューを
セッティングの話
と、その前にスピーカーとセッティングについてのお話を。
良いカメラのレンズが、特性を理解してちゃんと使いこなせないと性能を引き出せないように、スピーカーもそんな扱いの難しい「沼」の世界の一つです。
なぜこの話をするのかというと、このスピーカー、適当にポン置きすると音があんまり良く無いんです。
筆者は趣味で音楽を作っていて、多少音に関する心得はあるのですが、スピーカーと置く場所の関係って結構シビアなんです。
- スピーカーと頭の位置は二等辺か正三角形が基本
- ツイーターは耳と一直線上に
- スピーカーと設置面は少なく、共振はできるだけ無くす
- 部屋と共鳴している周波数はイコライザーで抑える
最低限この辺りをちゃんとしてあげないと低音はボワつき、音像はモヤがかかる。率直に良い音にならない。
素質が良いだけに結構わがままなデスクトップスピーカーです。
純正にもスピーカースタンドはありますが、流石に高いので僕は別の機材メーカーのものを購入。
防振ゴムシート・スタンド・A2+という構成で試しました。
ここまでしてやると、丁度スイートスポット(音が一番良く聞こえる空間)が筆者の頭と被るのでとっても良い音になりました。
RockSound
女性ボーカルのウィスパーボイスと美しいピアノの旋律が光る現代的なサウンド。その分再生機器のクオリティーが顕著に出る楽曲です。定位感は非常によく、高音域の抜け感も素晴らしいです。
特にスピーカーのセッティングにある程度こだわったとき、空間的な広がりが強く感じられ「スピーカーが消えた」かのような感覚になる分解能と定位感のクオリティーには感服です。
ボーカルがちゃんと真ん中に定位。
まるでディスプレイから鳴っているような錯覚をするくらい、はっきり感じられます。
低音域はローエンドに近づくにつれ、特に70kHzあたりから少なくなってしまいますが、
邦ロックのベースを感じられる程度には十分出ているので満足。
Darkglassのベースプリアンプの特色(大体200Hz〜1Kzにかけて広く出る特徴)をちゃんと表現できている点も好印象です。
JazzSound
珍しい5/4拍子で有名なジャズナンバー、TAKEFIVEです。
特にこの曲は力強いドラムソロがお気に入りなのですが、スネアの質感がすごいですね。単純にスネアの音だけでなく、空間で反響している音、他のドラムやスネアが少し揺れる音まで空間的な情報を含めて聞くことができます。非常に広がりを感じさせる音です。
CBS 30th Street Studioで、1959年にレコーディングされた音源から、様々なアーティストがカバーしたものまで聴き比べてみましたが、そんなレコーディング環境の差、マスタリングエンジニアの設計した空間的な設計まで聞き取ることができるのは、他のデスクトップスピーカーのと比較しても頭一つ抜けている用に感じます。
しかしそれらの音が官能的かと言えばそうでもなく、味付けの少ないフラットな音です。原音忠実よりとも言えます。
EDMSound
Zedd, Alessia Cara – Stayです。
アラミドファイバー繊維を使っていると言うだけあり、音の立ち上がりや躍動感は非常にリニアです。特にこの曲の核となるメロディの躍動感はなかなか味わえないものがあります。
またツイーターがいい仕事をしているので、かなり音量を上げても高音域がビビることがなくキレイに伸びます。
しかしながら、ローエンド以下の重低域には乏しいため、ライブ感は少なく感じられます。
スピーカーに「とにかくズンズン響く重低音が欲しい」という方にはおすすめできないですね。
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重低音が欲しい!という方にはサブウーファーのセット導入がおすすめです。スピーカー単体だと正直きつい
【追記】ネットでは賛否の分かれるレビューが散見されるが、、、?
後から知りましたが、主に「高いスピーカーなのに低域がショボくて音が悪い!」といった意見が多いようです。
正直なところ自分としてその評価は盲点で、
「そもそも2.7インチ(7cm程度)のスピーカー径に低音を求める方が酷」という評価が正しいかと思います、、、
低音とは、波の周期が大きな振動が空気を伝わる音です。
つまり、より大きなスピーカー径で、力強く、大きく揺らさなければローが出るはずもないものです。
その点BOSEや近年のポータブルスピーカーなどは技術的革新によって、あのコンパクトなサイズ感で低音の再生を実現しているからすごいですよね。
結論としては、
- 映画や音楽をド迫力で楽しみたい方
- 音とかあんまり分からないけど、高価で良いスピーカーが欲しい方
上記に当てはまる方にはあまりおすすめできず、厳しい評価になってしまうかもしれません。
主に音質で酷評されている方は低音について触れられた後、何倍も大きなブックシェルフスピーカーを挙げたりされていました。
そういった方にはBose Companion 2 Series IIIがおすすめです。低域が豊かで聴き心地がとてもいいスピーカーです。
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BOSE(ボーズ)
僕個人として、このデザイン・サイズ感で
この解像度と音の完成度を誇っているスピーカーはかなり稀有な存在であると感じています。
ゲームでの使用感
いつもはアストロミックスアンプを使用してゲームをしています。
それぞれAPEXとスプラトゥーンをプレイしました。
音質良し。
定位感、非常に良し。
何せ空間の広がり方が非常に広い。
それでいて音像を壊さない定位感の良さあるので、ヘッドホン級とはいかないものの
カジュアルでFPSをする分には必要十分の定位のよさが伺えました。
まとめ
Audioengine A2+
メリット
- デザイン性の高さ
- (サイズの割に)ローエンドまできっちり鳴らす性能
デメリット
- 少し高い
- 楽曲制作には不適切
いままで2年ほどBose Companion 2 Series IIIを使用していて、そろそろもっと良いスピーカーがほしいと思い、しばらくデスクトップスピーカー探しをしていました。
「いい音」のスピーカーはたくさんありますが、「小さくて」「デザインが良くて」「音が良いスピーカー」となると、ハードルは一気に上がりました。
ほとんど唯一の選択肢ではないでしょうか。
しかしこのスピーカーは「本物」です。Boseのようにポン起きである程度いい音を出すようなものとは一線を画しています。(その点Boseは雑に置いてもいい音が出るので、とてもいい仕事をしている)
少し癖はありますが、その分良き相棒になってくれる。そんなスピーカーでした。
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