Beatsらしい低音域も、Appleらしい中高音域も。
皆さんこんにちは。iO管理人のRyota(X/Twitter)です。
今回は、満を期して発売されたBeatsの新作ワイヤレスイヤホンである「Beats Studio Buds」のレビューです。
Appleの傘下に入ってから音質・利便性の向上が目まぐるしいBeatsでしたが、特に低音域の「Beatsらしさ」が失われつつあったという声を耳にする機会も多かったです。
しかしながら、今回の「Beats Studio Buds」は、チップからBeats社の独自開発となったモデルであり、サウンドチューンもAppleのノウハウを引き継ぎつつ「Beatsらしさ」を取り戻したかのような元気な重低音を引っ提げて登場しました。
以下音質詳細レビューと、AirPods Proとのノイズキャンセリング比較レビューです。
Beats Studio Buds
・これは何?
ノイズキャンセリング対応完全ワイヤレスイヤホン
・価格
16,800円(Amazon)
・ここすき
Beatsらしい重低音
ミニマルなデザイン
一万円台で空間オーディオ対応
・うーん
専用アプリでEQカスタムできない
ケースがqi充電非対応
・総評 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
星5・とてもオススメ
【iOtakuによるヘッドホン評価】
音質・・・・星4 ⭐⭐⭐⭐☆
装着感・・・星5 ⭐⭐⭐⭐🌟
デザイン・・星5 ⭐⭐⭐⭐🌟
コスパ・・・星4 ⭐⭐⭐⭐☆
携帯性・・・星3 ⭐⭐⭐☆☆
【更新情報】
2022/05/19に、最新の情報に更新しました。
Contents
開封の儀
今回はApple Storeにて購入しました。
梱包は非常にコンパクトで簡素。いろんな意味でアメリカンです。
内容物
付属するのは、本体、充電ケーブル、イヤーピースが大小とBeatsステッカー。
加えてApple Musicが3ヶ月無料で体験できるコードです。
イヤーピースはAppleっぽさがある、柔らかく負担の少なそうなもの。
Apple Music、最近はSpotify一強であったサジェスト機能が強化されたので、さらに便利になりました。
外観レビュー
それでは外観を見ていきます。
イヤホン本体
本体、ケースの質感はマットでさらさらとした触り心地です。
ビルドクオリティーも上々、かなり好印象です。
前面
「b」のマークがないパネル上部がボタンになっています。
物理ボタンなのでクリック感があり、操作感はかなり良いです。
静電気式と比較して、誤作動や無反応がほぼない点は嬉しい。
裏面
上下の金属は充電端子。
ボディとの段差もほぼなく、シームレスなので装着しても気になりませんでした。
充電ケース
本体のデザインと同じように、丸っこいデザインです。
充電端子はUSB-Cです。
しかしながら、コストカットの影響かワイヤレス充電には対応していません。これは結構かなしい。
今回のBeats Studio Budsは、マルチペアリングに対応していないため、端末切り替えの際は操作をしなければなりません。
そのために使うのがこの真ん中のボタン。
具体的には、一度ケースにイヤホンを仕舞い、LEDが白く点滅するまで真ん中のボタンを押し続ける。
そうするとペアリングモードに移行するので、新しい端末と再接続する、といった流れになります。
AirPodsに代表される自動切り替えには対応していないので、そこに魅力を感じる方は素直にAirPodsProを購入しましょう。
使用感レビュー
Bluetooth class1(最大100メートル通信にまで対応)規格なので、接続安定性や遅延などはほとんど気にしなくて良いレベルです。
装着感はとても良い 圧迫感はほぼゼロ
装着感は非常に良いです。
耳の窪みに本体が乗っかる形で、イヤーピースは耳孔の角度にぴったり合うようにデザインされています。
付属する説明書ケースに書かれたイラストの通りに、ひねるようにして装着すると、ぴったり収まります。
当方で試してみて、捻った後、「b」のマークを軽く押してやるとさらに密閉感が上がるのでおすすめです。
今回のBeats Studio Budsですが、アップル謹製「H1チップ」「W1チップ」を搭載していません。
だからといって操作性が落ちているかと問われると全くそうでもなく、非常に快適です。
AirPodsと同様に設定できる
ノイキャンは音量から、各ボタンのカスタムも本体設定→Bluetooth設定より変更可能です。
使用感も上々、非常に便利です。
しかしながら、イコライザーの調整や音質のカスタムなどにいは相変わらず非対応。
音質をいじりたい場合は、本体設定のプリセットを切り替えましょう。
音質レビュー
beats studio buds君、箱出しの音は「まぁいつものbeatsか」と言った具合なんですが、
Chord & Majorのエージングツールをかけた後数時間聴き鳴らすと、なかなかどうして楽しくて良い音が鳴ります。
まずは、純粋な詳細音質レビューです。
【iOtakuによる音質評価】
高音域・・・星4 ⭐⭐⭐⭐☆
中音域・・・星4 ⭐⭐⭐⭐☆
低音域・・・星5 ⭐⭐⭐⭐🌟
空間表現・・星4 ⭐⭐⭐⭐☆ (空間オーディオは非考慮)
迫力・・・・星5 ⭐⭐⭐⭐🌟
購入後から20時間ほど鳴らし、Chord & Majorのエージングツールもかけているので音質は比較的落ち着いてきた頃合いです。
傾向はいつも通りドンシャリですが、中高音域の扱いが、BeatsとAppleのいいとこ取りをしたようなバランスの良さで、Beatsシリーズとしては比較的新しい傾向の音です。
音場はやや狭めで、音圧もあり楽しく聴けます。
- Beats節ぶんぶんの迫力ある重低音
- 大健闘している中高音域
- やや甘いものの、十分な定位感
- 解像度もそこそこ
- 抜けるような高音域にはやはり乏しい
では実際に曲を聞いてレビューを。
Rock Sound
正直、箱出し直後の音質はお世辞にもいい音とは言い難い音でした。
所謂Appleの傘下に入る”前”のBeatsのような、重低音マシマシのやばい音。
しかしながら、しっかりエージングをかけてやることでかなり変わりました。
具体的には奥に引っ込んでいたボーカル、ギター、ドラムのスネアが綺麗に空気感を含んで鳴る様になりました。リバーブの減衰感もちゃんと聞こえます。合格点。
重低音はただ出ているだけでなく、輪郭を伴ってちゃんと「音」として表現できています。ドラムのキックなど余裕で、一つチューニングを下げているベースの4弦解放の音がdarkglassの歪み感を伴って”ちゃんと聞こえる”のには少し笑いました。つよい
しかしながら、やはり高く抜ける様な高音域にはやや乏しい。見えない天井に触れてしまうような感覚はあります。シンバルも突き抜けてこない。ですが音抜けを支配しているハイミッドあたりまではちゃんと出ているので違和感なく聞くことが出来ます。むしろこれ以上ブーストするとボーカルの歯擦音(いわゆるサ行が刺さるというアレ)がキツくなりますね。
Electoronic Sound
Rock Soundで語彙を増やしすぎたので、次からは語彙力を落としていきます。
バイブスアゲアゲ(死語)ナウでヤングな(死語)ディスコミュージック(死語)、Pitbull – Timber ft. Ke$haです。
脳が揺れます
これまでのBeatsだと、溢れる重低音で脳が揺れるだけで済んだのですが、今回のBeats Studio Buds、中高音域もちゃんと出ているので、特徴的なE♭のハーモニカも、Ke$haのボーカルもしっかり抜けてきます。
バイブスも上がります
チョベリグです。(死語)
HipHop Sound
普段はほとんどサウンドチェックでレビューしないヒップポップですが、Beatsといえばメーカー名にDr. Dreと銘打っているほどヒップホップ界とも関わり深いメーカー。
最近流行している中でも特に重低音がやばいDJ Khaled – EVERY CHANCE I GETですが、Beatsはその響くローエンドまできっちり鳴らしてくれます。まさに本領発揮といった具合。
フロアが揺れているかのような、ギリギリ音階がまだある重低音をズンズン鳴らしてくれます。
空間オーディオレビュー
最近Apple Musicにて提供の開始された空間オーディオ、Beats Studio Budsも勿論対応しており、曰く「360度から音がなる」新たな音楽体験ができる、との触れ込みですが、Beats Studio Budsでも試してみました。
Beatlesなどの往年の名曲はエンジニアによる擬似再現、そして新たに空間オーディオに対応配信された楽曲はエンジニアによって別途マスタリングされていると言います。
例えばApple公式プレイリスト、空間オーディオ:ヒッツから近年大躍進しているBTSのを聴いてみると、確かにステレオ特有の、脳内に定位がバシッと定まる感覚から「周囲」から音が聞こえるように変化します。
特に面白いのが定位が自由自在であること。シンセなどが身の回りをぐるぐると飛び回るような鳴り方をしますし、ベースは下から、ボーカルは前面からと、面白い聞き方が出来ます。
これから対応曲も増えてくると思いますし「空間オーディオ」を前提としてmixされた楽曲表現が出てくることにも期待したいですね。
【追記】Netflixが3Dオーディオに対応する様になるとか。素敵です。
ノイズキャンセリングの効果レビュー
ノイズキャンセリングについては、そこそこといった具合でした。
【iOtakuによるノイズキャンセリング評価】
総合評価・・星4 ⭐⭐⭐⭐☆
対騒音性能・星3 ⭐⭐⭐☆☆ (カフェの騒音程度)
圧迫感・・・星5 ⭐⭐⭐⭐🌟 (耳圧はほとんどなし)
大体そこまで人のいないカフェの雑踏が消える程度の消音力ですね。
電車の走行音などは、音楽を流せば気にならなくなる程度。
構造自体の密閉性能は高いですが、イヤーピースがガッツリ密着するようなタイプではないため、静かな環境を追い求められる方には物足りなく感じられるかもしれません。
しかしながら、圧迫感のなさは見事です。非常に自然なかかり方をします。
AirPods Proとの比較
値段差が倍近くあるワイヤレスイヤホンの覇者AirPods Proです。
こと総合力という点では未だ最強のイヤホンですが、Beats Studio Budsも健闘しています。
最後に、この両者について比較していきます。
音質
DRAW(引き分け)
トータルのバランスで見ると、やはりどんな曲も満遍なく鳴らすAirPods Proに軍杯が上がるか、、?と思いましたが、こと重低音が響くエレクトロニカなどであればBeats Studio Budsの方が楽しく聴けます。
これはもう好みの問題のように思えますが、Beats Studio Budsも思いがけず中高音域を鳴らしてくれる。
より刺激的な音楽体験を求めるならBeats Studio Buds
トータルバランスや、ジャンルを隔てない聴き方をするならAirPods Pro
といった棲み分けができるかもしれません。
快適性
AirPods Proの圧勝
防水性能、接続性、装着感、ノイキャンの違和感の無さなど、基本的な性能では健闘していましたが、
Apple製品間の自動切り替えやワイヤレス充電、そして卓越したノイキャン性能に着脱センサーなど、細かい性能面でやはりAirPods Proが圧勝。
こと独自機能に関する快適性においてお金に余裕があるのであれば、AirPods Proをお勧めします。
詳細比較
その他の機能における、AirPods ProとBeats Studio Budsのスペックシートです。
Beats Studio Buds | AirPods Pro | |
---|---|---|
サイズ | 高さ:15.0mm 長さ:20.5mm 幅:18.5mm | 高さ:30.9mm 長さ:24.0mm 幅:21.8mm |
重量 | 片耳5.0g | 片耳5.4g |
ケースサイズ | 高さ:25.5mm 長さ:72mm 幅:51.0mm | 高さ:45.2mm 長さ:60.6mm 幅:21.7mm |
ケース重量 | 48.0g | 45.6g |
防水性能 | IPX4 | IPX4 |
アクティブノイズキャンセリング | ◯ | ◯ |
外部音取り込みモード | ◯ | ◯ |
空間オーディオ | ◯ | ◯ |
H1チップ | × | ◯ |
Hey Siri | ◯ | ◯ |
Google Fast Pair | ◯ | × |
Apple 「探す」 | ◯ | ◯ |
Android 「端末を探す」 | ◯ | × |
バッテリー持ち | イヤホン単体:最大8時間 ケース使用:最大24時間 ANC/外部音取り込みモード時 イヤホン単体:最大5時間 ケース使用:最大15時間 | イヤホン単体:最大5時間 ケース使用:最大24時間 ANC/外部音取り込みモード時 イヤホン単体:最大4.5時間 ケース使用:最大24時間 |
充電ポート | USB Type-C | Lightning |
ワイヤレス充電 | × | ◯ |
カラー | ・ブラック ・ホワイト ・Beatsレッド | ・ホワイト |
価格(税込) | 17,800円 | 30,580円 |
発売日 | 2021/08/11 | 2019年10月30日 |
まとめ
一万円台のイヤホンの中で最も音質が良いか?と問われると、そうではないでしょう。
しかしながら
- アクティブノイズキャンセリング
- 空間オーディオ
- 「探す」機能
- 非常に早い連携
これに加え、Beats謹製の重低音が加わるとなると、非常にトータルの完成度が高いイヤホンと言わざるを得ません。
しかも何よりこのイヤホン、10,000円台であり、Androidにも最適化されています。
「一万円台で魅力的な体験ができるワイヤレスイヤホン」では最高の性能を持っていると思います。
迷われている方には、十分おすすめできる高い完成度を持っています。
後最後に念押ししますが、デザインは最高です。